わが母ながらアッパレ〜皮下点滴をめぐる母との対話〜

福島県石川町の笑顔で心豊かな人生のお手伝い

介護、生前整理、整理収納、防災のライフナビゲーター

住まいのトータルサポートKOKUYA代表

伊東眞理子です

わが母ながらアッパレ
〜皮下点滴をめぐる母との対話〜

■ あの時の迷いと決断

母の体調が思わしくなかった頃、
在宅医の先生から「皮下点滴をしてみましょう」と勧められました。


お腹に打つ皮下点滴は身体への負担が少なく、水分補給もできるとのこと。けれど、浮腫みや心臓への負担も心配…。
母はまだ口から食事や水分が摂れていたので、本当に必要なのかと私は迷いました。

「もし、やらなかったことで後悔したら…」
「でも、やって母がつらい思いをしたら…」
頭の中で何度も行き来する思い。

そんな中、母とじっくり話しました。
メリットとデメリットを伝えながら、「どうしようか?」と尋ねると、母は穏やかに笑って言いました。

「私、なんでも経験したいからやってみるわ」

「えっ!---それでいいの?」

でもその一言で、私の迷いはスッと消えました。
あぁ、この母の強さと前向きさには、やはり敵わない。
わが母ながらアッパレでした。

■ 「やってみる」から生まれた納得

皮下点滴をしてみた結果、母の体調は大きく変わることはありませんでした。
でも、「やってみた」という経験そのものが、私たち家族にとって大きな意味を持ちました。
“やって良かった”と思えたのは、母の意思で母が納得していたから。

あの時の母の「生きる姿勢」が、今の私の介護観をつくったのだと思います。

今、あの時を振り返って

在宅介護をしていると、迷う場面がたくさんあります。
「この処置をするか」「薬を増やすか」「延命を望むか」——
どれも正解はなく、その人と家族の想いの形によって違います。

大切なのは、「どうしたい?」と本人に尋ねること。
そして、答えが出なくても一緒に考える時間を持つこと

あの時、母と話し合えたからこそ、今も後悔がありません。
たとえ短い時間でも、本人の声を聴くことがいちばんの「心の整理」になるのだと感じます。

最後までお読みいただきありがとうございました

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