『心がほどける介護日記』第1話~言葉と想いでつなぐ家族の絆~

福島県石川町の笑顔で心豊かな人生のお手伝い

介護、生前整理、整理収納、防災のライフナビゲーター

住まいのトータルサポートKOKUYA代表

伊東眞理子です

たった一言で変わる「心の距離」

介護をしていると、つい心が張りつめてしまう時があります。
忙しさの中で、家族との関係にもすれ違いが生まれることもあるでしょう。
でも、たった一言の言葉が、そんな距離をやさしく埋めてくれることがあります。

やり残していた「心の整理」

生前整理の認定講座で出された「やり残しリスト」。
「あなたが今、やり残していることは何ですか?」という問いに、
私はペンを持ったまま動けなくなりました。

浮かんできたのは――母と兄の顔でした。

母の
「たった二人きりの兄妹なのに、どうしていつも喧嘩ばかりしているの?」
という言葉が、頭の中をぐるぐるとめぐったのです。

しかし講座の時は「兄と和解する」と書けませんでした。
でも家に帰ると、その言葉が心に残って離れませんでした。
“母を安心させたい”“穏やかな気持ちで見送りたい”
そんな思いが静かに広がっていったのです。

勇気を出して一歩踏み出す

思いきって兄に連絡をしました。
最初はぎこちない会話でしたが、
お互いの胸の奥に溜まっていたものを少しずつ言葉にできました

認定講座を受けていなかったら、
こんな気持ちにはなれなかったと思います。
今では、普通に行き来できる関係に戻れています。

兄の「たった一言」

ある日、兄から電話がかかってきました。
「いつ来るんだ?」と、母のことを気にかけてくれている様子でした。

「行きたいけれど、お母さんが歩けなくなってきていてね」と話すと、
少し沈んだ声で「大変だろうけど、よろしく頼むな」と兄が言ったのです。

――えっ? 兄からこんな言葉、聞いたことがない。

その一言が胸の奥まで届きました。
言葉って、こんなにも人の心をやわらかくするのですね。

 言葉で心がほどけていく

思えば、私と兄の関係も「言い方」のすれ違いだったのかもしれません。
相手の気持ちを考えて言葉を選ぶこと。
それは、介護でも家族関係でも、
笑顔を増やす小さな魔法だと感じます。

母はきっと、私たちが笑って話している姿を見て、
安心してくれていたのではないでしょうか。

あとがき

介護の中で一番大切なのは、心のつながり。
家族が笑顔でいられることこそが、介護者の力になると感じます。
“たった一言”が、こんなにも温かい時間を生むのだと――
兄との出来事が教えてくれました。

明日は第2話「母が残してくれたもの」をお伝えしたいと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました

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