笑顔で心豊かな人生を整える
介護・生前整理・整理収納・防災のライフナビゲーター
福島県石川町 くらしのトータルサポートKOKUYA代表
伊東眞理子です
介護日記』
~言葉と想いでつなぐ家族の絆~
『心がほどける介護日記 第2話』
~母がくれた仲直りの時間~
母がくれた“仲直りの時間”
私と兄は、小さい頃から性格がよく似ていました。
似ているからこそ、意見がぶつかることも多く、
譲り合えずに言い合いになることもしばしば。
でも、ある時から「一歩引く」ことを覚えたのです。
それは母の存在があったから――。
母は、兄と私の間に静かに流れる空気を、いつも笑顔でやわらげてくれました。
三人で出かけた思い出
元気なころの母を連れて、
兄と三人でよく車で日帰りや小旅行に出かけていました。
「お母さん、○○に行こうか?」と兄が誘うと、
「行ってもいいわよ」と母がうれしそうに答える。
そのやりとりが、なんとも微笑ましくて好きでした。
私は母の付き添いでお供をしてました。
母と兄は名所旧跡巡りが好きで、兄は出かけると車椅子を押して歩いてくれました。
車の中では母と兄がよくしゃべり、私は後ろの席で微笑みながら聞いていました。
母も楽しそうで、笑い声が絶えませんでした。
食卓を囲む幸せ
遠出が難しくなってからは、家で食卓を囲むことが楽しみになりました。
兄と私は食べることが大好き。
母を囲んでの食事は、いつも笑顔があふれました。
外食も大好きな家族だったので、
母が「今日は○○に食べにいこうか?」と言うだけで、
家の中の空気がパッと明るくなったものです。
母が笑顔になる時間
母の体調が落ち着かなくなり、ベッドで過ごすことが多くなってからも、兄家族は毎月顔を見に来てくれました。
母の好きな郷土の和菓子を持ってきてくれて、
母はうれしそうに「まあ、懐かしい味ね」と喜んでいました。
兄は母の昔話を嫌がらず、何度も何度も聞いていました。
古い写真を取り出して、
「この時はね…」と母が話し出すと、
皆で耳を傾け、うなづき合う時間が流れました。
母の周りには、いつも笑顔がありました。
強くて穏やかで、
家族をひとつにしてくれる不思議な力を持った人でした。
母が残してくれたもの
今思うと、母は私たち兄妹の仲を
そっとつなぎ直してくれていたのだと思います。
母を中心にした時間があったから、
言葉がやわらぎ、心がやわらぎ、
兄との距離も自然と近づいていきました。
母がいなければ、きっと気づけなかった「思いやりの形」
母の存在そのものが、私たちに“仲直りの時間”をくれたのです。
あとがき
介護の中で、家族の関係は少しずつ形を変えていきます。
母が笑ってくれるだけで、それが何よりのご褒美でした。
今でも思います――
母が教えてくれたのは、
「やさしい時間をつくるのは、いつも人の心」だということ。
最後までお読みいただきありがとうございました
次回は「母が残してくれた言葉」をお伝えしたいと思います